理論②(本編1回目)おさらい
今回から本編が始まりました。前回はダイアトニックスケール
が何か、コードが何かということを学びました。
★本編1回目のポイント
①まずは、メジャーダイアトニックスケールを覚える
②ジャズに必須のコード進行、ツーファイブとコード機能の関係
③ドミナントは裏コードで置き換えられる。サブスティテュート・
ドミナント・モーション
④ドミナントモーションを作る、セカンダリードミナント【重要】
➄ドミナント7のコードの前には、Ⅱm7を置くことができる。
⑥ドミナント7コードが通常進行しないコードに進行する(偽終止)
⑦2つの機能をもつコード
それではひとつひとつ補足解説していきます。
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①まずは、メジャーダイアトニックスケールを覚える
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ピアノの鍵盤を見たらわかりますが、白鍵だけのドレミファソラシド
の並びを押さえていくと。
半音2つを全音とし、Cメジャーのスケールの並びは
白鍵だけで(キーボードをみるとわかりやすいです)
全全半全全全半
となる。
同様に、FメジャースケールはFから始めて
シ(B)を♭(黒鍵に)するとFメジャースケールとなる。
※これはお渡しした、別添の資料右側にあるメジャーダイアトニック
スケール一覧表でご確認ください。
さて、この白鍵だけのCメジャースケールを例にして
白鍵スケールをどこから始めるかで違ったスケールが資料に紹介
されています(ホッチキスで留めたメイン資料の1ページ目)
1番目のメジャースケールはイオニアンスケール(全全半全全全半)
2番目から始めるとドリアンスケールと書いています。
これらはチャーチ・モードといって教会音楽、聖歌のために
作られてきた古くからのスケールです。
ややこしくなるので詳しくは説明しませんが、この中で
・ドリアンスケール(2番目のDmのスケール/全半全全全半全 の並び)
・リディアンスケール(4番目のF△7のコードのスケール/全全全半全全半 の並び)
・ミクソリディアンスケール(5番目のG7のスケール/全全半全全半全
の並び)
はよく名前が出るスケールなので今は、この名称だけでも頭の隅に置いて
おいてください。
さて、Fのメジャースケールに話を戻すと、上のように、Fから
白鍵だけで弾くと、
リディアンスケール(全全全半全全半)となります(資料1ページ目
下から4段目)
が、Fのメジャーダイアトニックスケール(全全半全全全半)では、
Bを♭にする必要があります。
12のメジャーキーは、五度圏表を使うと覚えやすいです。
(『最後に』の欄を参照)
5度圏の下に行くほど、♭とか#の数は増えていきますが、これらの
12キーのメジャースケールだけでも覚えていくと、これを基準にして
あらゆるスケールがわかってきますので、スケールをひとつひとつ
覚えるよりも、メジャーをもとにスケールを考えていくのが一番
効率のいい覚え方となります。
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②ジャズに必須のコード進行、ツーファイブとコード機能の関係
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ジャズの曲の中で多いコード進行がツーファイブワン。
このコード進行はどのように成り立っているのかをみるには
コードの機能を理解すること。
Cのキーで例を挙げて説明すると、主要コード(プライマリーコード)
のコードと機能は3つ。
〇トニック(T)(安定感のあるコード)=1番目のC△7(Ⅰ△7)
〇サブドミナント(SD)(やや不安定なコード)=4番目のF△(Ⅳ△7)
〇ドミナント(D)(緊張感のあるコード)=5番目のG7(V7)
その他ダイアトニックスケール上には、上の3つの機能をもつ副次的な
コード(構成音が近い)があり、プライマリーコードの代理的役割を
担っています。
〇トニック(T)の代理コード=3番目のEm7(Ⅲm7)/ 6番目のAm7(Ⅵm7)
〇サブドミナント(SD)の代理コード=2番目のDm7 (Ⅱm7)
〇ドミナント(D)の代理コード=7番目のBm7(b5)
この機能をもったコードがトニックに完結していく進行のかたまりを
「ケーデンス」といいます。
不安定(サブドミ)→緊張(ドミナント)→安定(解決・トニック)
の流れで、ジャズでよく出てくるこのコード進行はツーファイブワン
と言われます。メジャーキーのツーファイブワンは以下です。
(マイナーのツーファイブワンは次回説明します)
Ⅱm7-Ⅴ7-(Ⅰ△7)
<ポイント>
・Ⅱm7はサブドミナントの代理。
・Ⅰ△7は省略されることも多い。
・ツーファイブワンは五度圏表の4度進行の隣り合わせの3つで探せる。
(五度圏表を覚えよう)
・このメジャー・ツーファイブワンは、全てメジャースケールの音で
構成される。ということは、これら3つのコードは極端な話、
メジャースケールの音だけでアドリブできるということ。
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③ドミナントは裏コードで置き換えられる。
サブスティテュート・ドミナント・モーション
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V7(ドミナント7)にある、3度と7度の音程は増4度。
これをトライトーンと呼んでいる。
それは全音3つで構成されて、ちょうどスケールを半分にした形となる。
ドミナントコードが、他のコードと違う特徴は個々にあります。
そのため、V7では同じトライトーンをもつコードが存在します。
もうひとつのコードを「裏コード」といいますが、五度圏表をみると
ちょうど対角線上にある対のコードの関係がそれ。
例えば、C7の裏コードはG♭7(五度圏表で確認のこと)。
C7では、3度がE、7度がB♭。
同じく、対角にあるG♭7では、3度がB♭、7度がE。
どちらにも同じ音があるのです。
3度と7度はコードを特徴づける音、それが一緒なのでコードを置き
換えることが可能。ツーファイブのドミナント7をこの裏コードに
置き換えると、
① Gm7-C7ーF△7 が
② Gm7-G♭7ーF△7 と置き換えられる。
置き換えた②は、G→G♭→Fと半音で進行しています。
ジャズではこうした裏コードに置き換えた、半音進行がよくでますが
もともとの曲のコードを、このようにリハモしていくことも可能。
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④ドミナントモーションを作る、セカンダリードミナント【重要】
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ダイアトニックメジャースケールのそれぞれのコードの前にV7
コードを作ることができる。五度圏表をみて、左側にある
アルファベットのV7を前につけてみます。
Cのメジャースケールでみると
(下段がダイアトニックコード。上段がセカンダリードミナント)
※ ※
G7 A7 B7 C7 D7 E7 G♭7(=F#)7
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
C△ Dm7 Em7 F△7 G7 Am7 B♭7(♭5)
※のついている(1番目と7番目のところは、セカンダリードミナント
でありません。
理由としては、右端のG7はプライマリードミナント(主要ドミナント)
だから、またG♭(=F♯)7はCのダイアトニックスケールにない
音のため、これもなし。
なのでセカンダリードミナントは、度数でいうところの
Ⅱm7 Ⅲm7 Ⅳ△7 V7 Ⅵm7 のみ。
このセカンダリードミナントの表記は下記のようになる。
V7/Ⅱm7 Ⅴ7/Ⅲm7 Ⅴ7/Ⅳ△7 V7/V7 Ⅴ7/Ⅵm7
つまりコードに直すと、それぞれ
A7/Dm7 B7/Em7 C7/F△7 D7/G7 E7/Am7
このセカンダリードミナントのコードのスケールはというと、
各V7の間の音に、ダイアトニックコード(Dmなどのコード)
が属するキー、ここではCのメジャースケールなのでそこにある音
をコードの間に入れていくとスケールができる。
このコードは大元のメジャーダイアトニックスケールに影響をうけているということです。
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➄全てのドミナント7のコードの前に、Ⅱm7を置くことができる。
<Related Ⅱm7>
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曲の中でドミナント7thがでてきたら、その前にⅡm7を置き、
ドミナントモーションを作ることができる。単調になる場合に、
こうしたリハモもできる。Ⅱmは、V7なので五度圏表の左横にある
アルファベットを入れる。(五度圏表で参考)
例
C7 → Gm7- C7
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⑥ドミナント7コードが通常進行しないコードに進行する(偽終止)
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Dm7-G7ーC△ が通常のツーファイブワンの進行。
解決する先のC△でなく、 Em7やAm7などに解決するようなケースの
もの。
C△のように、トニック(T)コードに近い、Tの代理コードなどに進行
する。
また、そのコードの構成音を一音が変化した変化和音も偽終止になる。
例1:
Dm7-G7ーEm7
Dm7-G7ーE7
Dm7-G7ーEm7(♭5)
例2:
Dm7-G7ーAm7
Dm7-G7ーA7
Dm7-G7ーAm7(♭5)
偽終止というが、終止していないわけではなく、あくまでケーデンス
である。
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⑦2つの機能をもつコード・Dual Function Cord
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DUAL FUNCTIONとは
ダイアトニックのマイナー7thコードが2つの役割を持つ場合のことを
いいます。
たとえば、key=Cのとき、次のような進行があった場合
Em7-A7-Dm7
このEm7は、
①keyにおけるダイアトニックのⅢ-7の役割と同時に、
②Ⅴ7/Ⅱに対してのrelated Ⅱ-7の役割も持ちます
このように
同じダイアトニックのコードでありながら2つの違う役割を持つ。
のをデュアルファンクション(2つの機能)といいます。
アドリブでは、この役割のとらえ方によって使うスケールが変わって
くるので注意が必要です。
話を戻して、Em7はダイアトニックスケールのⅢ-7の役割では、
Eのフリジアンスケールを使う。(資料1ページ目を参照)
Eは3番目なので、フリジアンスケール(並びは半全全全半全全)
を使うとⅢ-7の役割が強調できます。
Related Ⅱ-7は、Rootに対し「E」音は
2番目なので「ドリアン」(前出)
Eドリアンを使うとⅡ-Ⅴらしさが際立ちます
コードは同じものなので、
コードトーンだけで動いても
ふたつの違いはありません。
ただ、コードの合間を何のスケールで埋めるのかで
ニュアンスが違ってきます。
たった1音、コードトーンに
フリジアンスケールかドリアンスケールの音を加えるだけで
全然違う響きをもつのです。
たった1音の選び方が
実際にはとても大事だったりします。
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最後に
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さて、今回はメジャーのダイアトニックスケールを取り上げました。
メジャーはスケールの基本です。
まずは、五度圏で12のメジャーキーを覚えましょう。
五度圏表を駆使するとわかりやすいです。
♭系は、
右回りに♭が増えていきます。
♭が0 C
♭1つ F → シ を♭
♭2つ B♭→ ミシ を♭
♭3つ E♭→ ラシミ を♭
♭4つ A♭→ ラシレミ を♭
♭5つ D♭→ ソラシレミ を♭
♭6つ G♭→ ソラシドレミ を♭
#系は
左回りに#が増えていきます。
#が0 C
#が1つ G → ファ を#
#が2つ D → ドファ を#
#が3つ A → ドファソ を#
#が4つ E → ドレファソ を#
#が5つ B → ラドレファソ を#
#が6つ F# → ラドレミファソ を#
五度圏図
次回マイナーは、このメジャーをもとにマイナーの3つの
タイプと、それに関するツーファイブとマイナーにおける
理論の重要ポイントをご紹介します。