1回目の「上達のロードマップのアドリブ講座」にご参加いただきありがとうございます。アドリブはいろいろなアプローチがありますが、そのアプローチのひとつである今回の内容は、とても重要なアプローチになりますのでぜひ、この部分をしっかりおさらい&練習をしてみてください。

このレイヤー方式の概念とフレーズを理解していただき、土台になるブルーノートペンタトニックスケールをセーフティネットにすることで、ジャズのブルージィな部分で曲のクオリティを確保することができますので、ご自身でしっかりこの6音をマスターしてください。

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ブルーノートペンタトニックスケールを土台に使うことで、安心して演奏できる部分を増やしながら、自由にアドリブを楽しむことが可能となります。そこで今回の内容について、下記に全体のレイヤーの考え方、皆さんのそれぞれのレベルでどう練習するかなどおさらいを兼ね、追加的な情報や補足的な解説をこのページで紹介しております。

お時間のある時にこれと資料を見直していただき、アドリブ練習をしてみてください。なお、先日お渡しした資料5は次回の参考資料です。次回は第二層のレイヤーの考え方と実際を学んでいきます。次回、ご参加される方はぜひ、今回お渡しした資料を持ってきてください。

■そもそも、アドリブのレイヤー方式とは・・・

浦島先生が長年生徒さんを教えていかれて、もっとも上達に効果のあったアドリブのアプローチ方法です。

第一レイヤーと第二レイヤーの2層で考えていくことで、ジャズの理論やコードの知識のない方にも段階的にジャズらしいアドリブへ上達していく方法で、アドリブのアプローチ方法のひとつと考えてください。

この第一レイヤーはブルーノートペンタトニックスケール6音を使っています。コードやスケールをひとつひとつ考えることなく、曲全体やかなりな部分をこれらの6音で演奏できてしまいます。ただ、スタンダードの曲などでは初心者で演奏されている曲は多くは大丈夫ですが、ジャズの曲で転調されている部分が多い曲などは部分的になる場合もあります。今回お渡しした3曲、特にブルースはほとんどブルーノートペンタトニックスケールで大丈夫です。このスケールは♭3に♭5のブルーノートがあるので、ジャズらしいブルージーさが加味できるとても便利なスケールです。

使う上で問題点を挙げるとすれば、スケールを上行のアルペジオにしてそのまま演奏するだけではスケールの持ち味を活かせません。6音だけなのでフレーズが単調化しやすい点をカバーしていきましょう。今回は、参考例として2小節に収まるフレーズ、4パターンの資料をご用意しています。

そして初心者がやりがちなのが、フレーズは毎回小節頭の1拍目表から始めるパターン。ジャズらしいグルーブにはならないので最初の音を前の小節の裏拍から入れたりすることで強拍アクセントの変化がでて、グルーブ感が生み出されます。これが配布資料3でシンコペーション例として挙げたフレーズです(前の小節をくっているだけではアンティシペーション)です。初心者の方の演奏で、ジャズらしく聴こえないというケースの悩みがありますがその原因が小節頭からのフレーズ。音程だけでなく、リズムをもっと意識することで演奏が格段に変わってきます。

多くの初心者は、譜面をみていきなりフレーズ楽器で演奏しがちですが、まずはフレーズをリズムを口ずさんでみてください(配布資料3)そのフレーズの音を前、後ろにずらしてみてどう変わるのかを歌って感じてみましょう。リズムの変化が生まれます。これらの練習に参考になるのはジャズボーカルのスキャットなどです。この練習は楽器を持たないでも普段の隙間の時間でも練習できるです。フレーズを覚える際はぜひ、やってみてください。

◆今回の内容での練習をあなたができるレベルで考えてみる。

話を一旦戻します。今回の内容も少し難しいと感じられた人もおられると思いますが、今回はレイヤー方式に添って曲のキーにあったブルーノートペンタトニックを把握し、その音を使って曲を通して演奏しました。

レイヤー方式をシンプルに例えれば、第一のレイヤーは何にでも合う白いご飯(土台。ここではブルーノートペンタ)、その上にちょこっとのせる第二のレイヤーフレーズは、海苔や、明太子、卵というイメージです。ご飯をベースに、その上にアクセントを置くからおいしさが際だつというものです。慣れてくれば、そのうち、焼き肉やキムチ、鰻といった主張のあるおかず(ジャズ言語のツーファイブフレーズ)を入れ込んでいくというイメージになるかもしれません。こうしたステップ踏んでいくと大きく外れない中で、アドリブの上達を加速させていける順番と考えます。

ジャズのアドリブのアプローチは多彩であり、どれをやってもいいのですが選択肢が多くなると、何をやっていいのかわからない、なかなかジャズらしくならない、ぎこちない演奏になってしまうなどの悩みを持つ人が多くなってきます。そのためにも、こうしたステップから段階を経ていくことがお勧めです。

そして、図2を見ていただくとわかるように、ジャズをどこまでできるかそのレベルによって、練習の比重を変えていきます。まったく、もしくはほとんどアドリブをやったことがない(0-1ベース)の方から、演奏はできるけれどやっていることに自信が持てないというレベル(10-20)レベルに分けて以降、練習方法をご案内していきます。

・0-1段階(ステップ1)→まったくジャズのアドリブをどこからやったらいいかわからない人
・1-10段階(ステップ2)→少しはコードもわかり演奏はなんとなくできるが、その先に行けない人
・10-20段階(ステップ3)→書き譜を利用してなんとか演奏をしてきたが、どうもジャズらしくならない、手癖から離れられず演奏に変化や発展がない人

ご自身がどのレベルにあるかを考えていただき、下記のように練習してみてください。次回ではそれができたうえでコードを素材に考えたスパイス的なフレーズを作って混ぜ込んでいただくことになります。

■0-1段階の人(ステップ1 初歩の初歩)

まず今回の資料でブルーノートペンタの6音を使える曲で覚えてください。
最初は〇7(ドミナント7th)のコードの多い、ブルースの曲(Fのブルース、Bbのブルース、Cmのブルースを今回のペンタトニックで演奏してみましょう。ブルースの曲はドミナント7th(〇7と表示されるコード)というコードが多く、それらはコード以外のテンションの音が他のコードに比べ、多く、おおざっぱに言えばほとんどの音が使えるため、その意味でもブルーノートペンタと親和性が高く、使いやすい曲です。

■1-10段階の人(ステップ2 初歩)

ブルース以外の曲、今回取り上げたスタンダードと言われる曲(主に32小節)の曲を中心に演奏してみてください。

例えばFの曲などは結構黒本でも多い曲です。そして同じ調号でマイナーの曲も同じように練習するといいでしょう。ここでもポイントは、スタンダーデはキーのスケール音だけで構成されているダイアトニックコード以外の音、これをノンダイアトニックコードといいます。それが多いか少ないかで土台のブルーノートペンタの使える部分は判断できると思います。今回のブルース以外の2曲はどちらもブルーノートペンタで演奏できる曲です。

では、スタンダード曲(今回のはほぼブルーノートペンタで大丈夫な曲でした)が、スタンダード曲によっては、コードがダイアトニックコードでないコード(ノンダイアトニックコード)がある曲もあります。この部分は転調がなされているので、コードを丸で囲み、その部分のキーは何か、そのブルーノートペンタは何なのかを資料3の資料を見てそれらを当てはめていきましょう。ただ、経過音として元のコードの音であるというコードも使われているものもあり、その点は次回解説します。

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【コラム・補足】
ジャズのセッションで演奏される曲は、コンサートキー(C調/ピアノ&ギター他)で、Fキー、Bbキー、Ebキーの順で多く、練習するのはそれらのキーの曲から練習すること同じようなコードがでてくるので、コードを覚える点でも練習効率がよくなります。それらのキー(調)を構成するスケールは、ダイアトニックスケールといいますが、その中の音でできる四和音のコードをダイアトニックコードといいます。ジャズ理論ではここは最低限知っておくポイントです。

下記にダイアトニックスケールをのせています。コンサートキー(C)のFの曲の場合、♭は1つ。Fから始まるので下記がダイアトニックコードです。下のカッコは音程を度数で示したものですがこれですべてのメジャーキーが理解できあす。度数でみるとキーが変わってもこの並び順となります。(他の楽器の方もぜひご自身の楽器の調に合わせて確認しましょう。)一覧表も添付しておきます。

 F△7  Gm7  Am7  B△7  C7  Dm7  Em7(b5)
(Ⅰ△7)(Ⅱm7)(Ⅲm7)(Ⅳ△7)(Ⅴ7)(Ⅵm7)(Ⅶm7(b5))

ダイアトニックコード一覧 DOWN LOAD

まずは、下記のダイアトニックスケール一覧表をのせていますので、それでダイアトニックの音はここのブルーノートペンタで演奏しましょう。
ノンダイアトニックコードでは3度と7度の音を入れて演奏することでコードのガイド感がでます。(このところをもっと展開させた話は次回の2回目の内容となります)

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■10-20段階の人(初心レベル)

ある程度理論もわかり、演奏もいくつか経験している人です。自身の手癖フレーズなども使って演奏をそれとなくできる方です。なんとな演奏はできるけれど、ジャズっぽく聴こえない、ジャズらしい音が感じられないということでしたら、ここでジャズらしさを出すためにブルースの曲からでいいので、あえてシンコペーションを意識します。

同じフレーズを前の小節の後ろから入る、もしくは同じ小節でも1拍目からでない位置で入る(その場合、フレーズが短くなるのでリズムなども小節に収まるように変化させるなど)フレーズをいろいろ変化つけてください。できれば、ブルースから始めましょう。
それで慣れてくると、次はスタンダードで同じようにやっていきましょう。
これは楽器のないところでもできますので、歌を歌ってみるところをやってみてください。

今回はセーフティネットを作るということでしたが、ここまでできている人は、ここにツーファイブワンなどのジャズでよく出る長めのコード進行フレーズを入れるということもできます。ただ、その前にせっかくなのでこのブルーノートペンタを土台にした演奏の中で、意識して休符をいれることをやってみてください。それも短めでなく、長い休符、場合によっては1小節くらいなどをトライしてみましょう。演奏にメリハリが生まれますし、次のフレーズの頭をどこから入れるかということによって、演奏に変化が生まれます。

管楽器の方は息つぎが必要ですので息継ぎのタイミングがフレーズになりますが、ギターやピアノの人はそれがないため、ずっと音がつながってフレーズの境目がはっきりしなくなってしまいます。それらの楽器はつい音を入れすぎてしまうためです。結果、フレーズ感がない、フレーズがよくわからない演奏になりがちです。スペースはメリハリを考える演奏のいい練習にもなります。

まずブルーノートペンタを使って、アドリブの中にスペースをつくることをやってみましょう。休符やフレーズをコントロールできるようになると、ジャズでよく出るコード進行で本格的なツーファイブなどのフレーズを正しい位置で入れていくのがやりやすくなります。

◆第二回目は、2層目のトッピングフレーズを作る。

1回目はコードを考えないで演奏できる便利なスケールを使って演奏してみました。
これ以外にもブルーススケールやメジャーやマイナーのペンタトニックスケールなど、いろんな人がいろいろなスケールの名前を出すので混乱している方も多いようです。1回目で紹介したブルーノートペンタは、それらを包括し、シンプルで使いやすいスケールですので、まずは、音数を少なく、いろいろ迷わなくていいこのスケールを最初に覚えてしまいましょう。

ただ、これだけでで使っていくと限界もあります。そのために、この次のステップとして、そこにもっとバリエーションを付けていく考え方を紹介します。大きく変化させるのではなく、1階層のフレーズの上に少し音のトッピングを考える方法です。これなら、シンプルでもあり変化がでてきます。さらにはこれはジャズでよく出てくるものなので、その考え方を2層目で解説します。

<事前参加の方の理解のための事前準備>

次回は資料5(コードの構成音一覧)が必要になります。
次回は今回の3曲を使いますのでそれらの資料もお持ちください。そしてコードがすぐにわからない方は、それぞれの曲ででてくるコードを一覧表でチェックし、特にメロディのところをみてコードの3番目、7番目の音があればそれがガイドトーン(演奏の流れを示唆する羅針盤的な音)となりますのでここを赤丸で囲っておくと次回楽になります。

「上達のロードマップを描く~初心者のためのアドリブ講座」(2回目)

■内容
・ジャズのアドリブの考え方
・レイヤー方式とは
・レイヤーの第一の構造
・基本のフレーズを使った演奏

■対象 
・インスト初心者…フロント楽器(サックス、トランペット他)、ピアノ、ギター※申し込みは先着順(早い順からの承認制)。パートなどの関係で人数になったら締め切ります。
・基本的なコードの知識がある。

■基本情報
◎時間:3月20日(祝)13:00~15:00
◎講師:浦島正裕(B、Pf)
◎参加費:4800円
◎持ち物:楽器、五線譜、筆記用具、楽器

■課題曲
ブルース、酒とバラの日々、Beautiful Love
を実践形式で演奏してみます。
※曲は、初心者セッションでよく出る曲を選びます。

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こうした講座では、わからないことなどその場で先生に質問し、疑問を解消できるのでご都合のいい方は、ぜひリアルでの参加をお待ちしております。